屋形舟今昔
「屋形舟」というとどんなものを連想されるでしょうか?
時代劇にでてくる屋根のついた四、五人乗りの小さな船をイメージされる方もあるかもしれません。
遠く慶長の時代に端を発した屋形舟も、当時は「平田舟」と称し、名前のごとく平らな舟でした。
承応年間に「楼舟(ろうせん)」となり、舟遊びの全盛期を迎えます。舟の大きさも「四間長さ*」「五間長さ」としだいに大型化して、万治年間の末頃には「七間長さ」「八間長さ」の楼舟が、隅田川を上り下りしたものです。
いつしかおもしろい仕来りがこの楼舟に生まれました。今日の言葉で、流行(はやり)とでも申しましょうか。楼舟に武家のお客様が十人乗れば十本、十二人乗れば十二本と、屋形の簾にお客の数だけ槍を掛け連ねて、楼舟をいっそう美しく飾ったといわれます。
現代の屋形舟は20人以上乗れる大きな船ですが、これよりも大きな舟が隅田川を行き来していた時代もあったのです。
このように隅田川の舟遊びの歴史は、江戸時代から現代に至るまで様々な経緯と盛衰を繰り返してきました。それとともに芸者さんや歌舞音曲、和菓子やお料理、花火やお花見などなど、様々なことと共に親しまれてきました。
それを一つひとつ、ひもといていくと大変興味深いお話がたくさん出てきます。
このページは舟宿小松屋に残っている古い資料や想い出、また私たちで調べたことや体験したこと、そして今現在の様子などなど…を知っていただきたいと思い、立ち上げました。
このサイトをご覧いただいて、屋形舟未体験の方には「隅田川の舟遊び」の魅力を感じていただければと思います。
また既に体験済み、そしてこれから乗られる方には、さらに深く楽しんでいただける情報など提供して参りたいと思っています。
これからもどうぞご愛顧くだされば光栄です。
* 一間は約1.818メートル。四間で約7メートル、五間で約9メートル。
2002年12月9日