天ぷら
屋形船といえば「天ぷら」。何故そうなったかご存じでしょうか?
もともとは投網を打って(舟から網を投げて)魚を取り、それを料理してお客様にお出ししていました。
魚を三枚に下ろし、天ぷらを揚げます。そして中骨のところで出汁をとり、それを天つゆにするのです。
とれた魚は捨てるところがなかったんですね。
または魚をあらい(冷水や氷で身をしめた刺身)にしたりと、当時は取れたて新鮮なお魚をお楽しみいただいたのです。
今では材料は予め船に積んでまいりますが、もともとは取れたての魚を天ぷらにしてご賞味いただいたのが始まりです。
昭和30年代後半ぐらいまでキスやボラ、セイゴ(スズキの幼魚)やクロダイもよく獲れたそうです。
なかでも特にクロダイを喜ばれるお客様もいて、投網にクロダイが入るとご祝儀をはずまれる...なんてこともあったそうです。
当時は取れたての魚をお出しするのが当たり前でしたが、今となってはちょっと贅沢なことに思えます。川や海に新鮮な素材があったというわけです。
今では、ご希望によりお刺身や焼き鳥など、いろんなお料理もご用意できるようになりましたが、揚げたてのアツアツの天ぷらをお出ししているのは、そうした伝統があるからなのです。
屋形舟にお乗りの際は、どうぞこの「天ぷら」をご堪能下さい。
2002/12/10