春のうらら
昨年の墨堤の様子 まだ満開前で出店も準備中(2003年) |
♪春のうららの 隅田川〜のぼりくだりの 船びとが〜
よく知られたこの歌ですが、曲名はご存じでしょうか?たぶん違うと思いながらもつい「春のうららの」…なんて答えてしますよね。
作曲者は滝廉太郎ですが、作詞者をいえる方は少ないかもしれません。
作詞者は武島羽衣(はごろも)、そして歌の曲名は「花」です。
向島の土手を「墨堤」(ぼくてい)と呼び、桜の名所として現在も親しまれていますが、大正のころまでの様子は
−春になるとまさに桜のトンネルになる。すると両側によしずがけの茶店が並び、そこで甘酒を飲んだり団子を食べたり。下町っ子たちは、土手下の河川敷にゴザを広げて酒や弁当をひらいて盛大に楽しんだ。
また旦那衆が船を仕立てて、芸者さんたちをともなってやってくる。陸(おか)に上がると赤い毛氈(もうせん)を引いて、本格的なお花見に興じる。
その時期、白髭橋から両国までの六大学のボートレースも行われて、花見がてらそれも楽しみのひとつであった−−−。
(参考:永楽豆本・隅田川昔語り)
昭和五十年代の墨堤、花見舟。 隅田川のテラスがなかった頃です。懐かしいですね |
この「花」という歌は、そんな大川《隅田川》の春のにぎやかな様子をみて作られたのでしょう。
今でも桜が満開になると出店がでたり、向島の芸者さんがお茶をふるまったり、大川には花見舟が出て賑わっています。早稲田大学、慶応大学で対戦するボートレース、レガッタも両国橋から向島まで毎年行われています。
でも娯楽の少ない昔はもっと、にぎやかだったにちがいありません。
今年の桜の開花予報が発表されました。東京は日本で一番早く3月18日開花とのことですが、墨堤の桜は川筋で寒いためでしょうか?例年ほんの少し開花が遅くなる傾向があります。
「花見舟『桜開花情報』東京・隅田川【sakurakaika.com】」もご覧ください。
とは言え、これからのお天気次第。暖かい陽気が続くとあっと言う間に咲き出します。墨堤の桜が散り始めると、浜離宮の庭園の八重桜が、濃いピンクの花を咲かせ始めるのです。
2004年3月15日
2006年3月25日加筆