お月見
ウサギのタペストリー
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気温が上下して半袖やら長袖を引っ張り出して着込んだ9月。これからやっと落ち着いた秋になっていくのでしょう。
そして、お月見。屋形船から見上げる月は思いのほか大きくて明るいのです。
隅田川を下って春海橋をくぐり東京港内にはいると左手は石川島播磨重工業の造船所です。ドッグに入った大型の貨物船。立ち並ぶ大型のクレーン。その先端にまぶしいほどに明るく大きな月がみえます。
まるで現代のおとぎ話のように、クレーンに乗って手を伸ばせば届きそうな。
とても不思議な光景でした。 その造船所も今はなくなり、ただ広い空き地になっています。いまにも落ちてきそうな月がぽっかりと浮かんでいるばかりです。
小松屋で屋形船を復活させて走り始めた昭和52年頃。
現在のにぎやかで明るいお台場からは想像もできないほどの広大な空き地。葦がどこまでもぼうぼうと生い茂り、秋の虫がうるさいほどに鳴いていました。貯木場のため国内外からの丸太がぎっしりと浮かび、ここが東京なのかと驚くほどの暗闇が広がるのです。
月が雲に隠れてしまうと心細くなってしまうくらいでした。月光は凄いパワーを持っているのを身にしみて感じました。
今年の中秋の名月は9月11日に終わってしまいましたが、これから「十三夜の月」を迎えます。旧暦9月13日。またの名を豆名月・栗名月とも言います。
「十五夜の月」が芋名月と言われますが、作物の収穫時期が芋より豆・栗のほうが遅いからそう呼ばれるようです。だから供え物も少し変わるのですね。
10月8日。「十三夜の月」晴れますように。
女将筆
2003/10/08