台風に追われるハゼ
〜2004年を振り返って〜
平成16年7月30日 早朝 隅田川蔵前橋付近
水面上に大量のハゼ発見
ハゼが大量に弱っている様子です。なぜかというと…酸欠です。
台風により川底がかき回されて、水の中の酸素濃度が低くなり、苦しくなったハゼたちは、一斉に水面近くに上がってパクパクと口をあけて呼吸をします。
この写真はそんな呼吸困難に陥ったハゼを助けるために駆けつけた組合員の作業の様子です。このように網ですくったハゼを船の生簀に取り込みます。
今年は気象至上最多の台風が日本に上陸しました。
たくさんのハゼが湧いても、成長過程で台風に襲われてしまうと無残にも育ちきれないのです。
タイトルのように、直接、ハゼが台風に追われているわけではありませんが、被害を受けるのは、もちろん人間だけではなくいろいろな生物にも関わってくるのですね。
私ども平素は屋形船の仕事もしておりますが、船宿としての過去をたどってみますと、漁業や釣りとも深く関わっています。
船宿そのものが投網(とあみ)や刺し網(さしあみ)、潮干狩りあるいは海苔(のり)の養殖などの漁業や、ハゼやきすなどの釣りによって生計を立てている宿が大多数でした。同業者の集まりとして最初に発足したのが漁業組合です。
その後、数十年の歴史をへて、東京都では内湾に六ヶ所の漁業組合があり、島を含めて東京都漁業協同組合連合会として活動を続けています。
今回掲載しました写真は、私どもも所属しております中央隅田漁業協同組合の活動の様子を捉えたものですが、組合の活動は獲るだけではなく、魚を育てる事や、今回のハゼ救出や河川、海上の清掃などによる環境保全、より良い漁場を将来に残すための活動など多岐にわたっています。
写真のハゼはどうなったのか?
気になると思いますが、当組合2隻と他組合2隻の合計4隻の船に揺られて、お台場まで運ばれ、元気にきれいな水の中に帰っていきました。
来年はもっと大きくなった姿を見せてくれることを願っています。
写真提供 中央隅田漁業協同組合
2004年12月24日