大入り袋
小松屋店内の神棚の下にずっと飾られている大相撲の「大入り袋」です。
大相撲の軍配を作っていらした、今はもう亡き中西順光氏が贈ってくださった大事なものです。
大入り袋とは…「満員御礼」の垂れ幕が下がると、相撲協会もしくは主催者から、年寄・関取・関係者に配られるご祝儀の入った袋のことです。
この写真の半円形の並び方には、実はちゃんと意味があります。
横綱が、露払いと太刀持ちを従えて、土俵入りをしているのです。
半円の真中に位置するのが横綱で、八日目の袋。半円の右側から、二日目、三日目と続き、横綱の八日目を抜かして十四日目まで。初日が右に1枚。千秋楽が左に1枚。形としても、きれいにまとまっていますよね。
横綱の土俵入りの型は、ご存知のように雲龍型と不知火型のふたつありますが、なぜこの二つの型かお分かりでしょうか?
遠い江戸末期の第10代横綱雲龍、第11代横綱不知火。
この二人の横綱の土俵入りの型がとても逞しく、美しいため、後世に伝わったということです。
さて、無粋な話ではありますが、「大入り袋」には、いかほどの金額が入っているものでしょうか?
まぁ、これは、ご祝儀物ということで、言わぬが花かと思われ…
(平成四年五月場所の大入り袋で作成)
2005年2月26日
煙草盆(たばこぼん)
前回、国技館の灰落としをご紹介しましたが、今回は小松屋に前からある煙草盆を写してみました。
煙草盆は、寛永年代(1624〜1644)に南蛮から持ち込まれ、はじめの内は大名が用い、次第に一般に広がっていったとの事です。
埋め火(灰の中に火のついた炭を埋めて、熾りにする)をいれておく火入れ。
吸った煙草の灰を捨てる灰吹き(灰落とし)
刻み入れ、煙管入れ等が、この小さい箱の中に、納まるようになっています。
分かりやすいように、刻み煙草の「ききょう」の袋を出してみました。
この刻み煙草の袋の絵が、趣きのある何ともレトロな絵なのです。
調べたのですが、現在、「ききょう」はもう販売されておらず、刻み煙草は「小粋」という一品のみになってしまったようです。
それでもまだ、刻み煙草を販売している事に驚きました。いまでも吸っている方がいるんでしょうね。
竹製の灰吹きに煙管(きせる)を立ててあるのがおわかりでしょうか?
歌舞伎や時代劇でしか、今ではなかなか目にすることがなくなりました。
幼い頃は、それでも、自転車を引っ張って 「らお屋」さんがきていました。
煙管の通りをよくするため、掃除したり、修理してくれるのです。
風の便りでは、浅草の門前に「らお屋」さんが時々、現れるそうです。
出会えたら、ちょっと懐かしいですよね。
2005年2月20日
国技館の灰落とし
両国国技館の升席で使われていた灰皿です。
実際に九番の升席で使用していた、木組みの中に、白い陶器の灰皿が入っていますこの九番の字が良いですよね。
この升席に座るためには、お茶屋さんに頼みます。現在は案内所と呼び名が変わり20軒あるそうです。
小学生の頃、この升席で相撲観戦したことがあります。お弁当をいただきながら、焼き鳥をつまみ、子供ですからジュースを飲み、あんみつまでしっかりいただいた記憶があります。
何か必要な時は、お茶屋さんの出方さんにいろいろ頼めます。出方さんの着物がまた趣きのある格好だったような…
燗酒を持ってきてもらったりします。
そういえば、大人は皆、ほろ酔い気分で楽しんでいました。
目の前での真剣勝負に気分は盛り上がり、最後の大一番では、自然と掛け声が上がり…
ずっと座り通してしびれた脚をなだめながら大きな紙袋にたくさん入ったお土産をかかえて帰宅するのです。
お土産を少しでも早く開けてみたくて、皆を急かしながら歩いたものです。
お楽しみのおみやげは…
大きな湯呑茶碗や小皿、お煎餅、みつまめ、お菓子類など、国技館ならではの物でいっぱいでした。
2005年2月10日